秋も深まり、木々の彩りも日を追うごとに変化をみせて目を楽しませてくれますね。
花の世界では秋のバラが見ごろを迎えています。蕾から開花まで私達を楽しませてくれる美しいバラ。その育ての親=生産者さんたちは、どのように育てて、こんなに美しいバラを世に出してくれるのでしょうか?
今回のMAGAZINEでは、普段ほとんど見ることができない生産者さんの世界をご紹介します。
読み終わった後、よりお花が愛おしく思っていただけることを願って☆
第一弾は、Kumpuの産地直送でも出店されてる渋谷ばら園さんです!
【渋谷ばら園】
神奈川県内でトップクラスの生産量を誇る平塚市。その地に、8棟、約800坪のハウス(温室)を構え、家族だけでバラの生産に関わる全ての仕事に取り組んでいます。
こだわりの土耕栽培によって、しなやかでありながら芯の通ったステム(茎)と品種本来の色味や花形が特徴で顧客からの信頼が厚い渋谷ばら園のバラは、一体どんなハウスで、どんな思いを注いで育てていらっしゃるでしょうか。
2代目である渋谷真一さんに伺いました。
■創業以来、土耕栽培切り上げ方式を貫く
ハウスの中はバラの森のよう!ドアを開くとたくさんのバラの樹々が迎えてくれます。上の写真は「切り上げ方式」による光景です。「切り上げ方式」とは、上に伸びる枝だけを残して横や下に向かって伸びる枝は剪定、樹間に空間ができることで光が十分に入り、光合成しやすくなり樹の生命力を最大限に引き出す効果があるそうです。
また、バラが迷わず上に伸びることができるように格子の柵を作ったり、日々の手入れや選花など、ご紹介しきれないほど惜しみない手間がかかっているのです。
渋谷さんいわく、
「国内のバラの生産の8~9割がロックウール(水耕)栽培の中、創業以来、土耕栽培を続けています。バラ本来の花弁の色艶、花持ちの良さにこだわり、家族経営で全ての業務を行い、品質管理を徹底しています。」
土耕栽培は土が『命』なので、土壌管理においては肥料の配合や殺菌消毒など細心の注意をはらい、土と向き合いながら作業を行わなければなりません。
こうして大地の恵みを存分にうけて育つことにより、強く花持ちがよく、水揚げの良い高品質のバラが生まれるのですね。
誇りをもって生産されている渋谷さんの自信に満ちた目力が素敵でした☆
■生き物相手だからこそ全てが手作業
このように手塩にかけて生産されているバラは、9月上旬から7月中旬まで出荷されます。1回の出荷は約1000本~2000本。
出荷まで全て手作業で行われています。
採取したバラたちは丁寧にすだれに巻かれ、作業場に移されると水揚げに入ります。
その後、品種・長さ・咲き方など規格に合わせて仕分けされ、保水をしてから丁寧に梱包し、市場へと旅立っていきます。
全て手作業の為、テーブルに丈を測るための長さが書き込まれてました。使い込まれたテーブルと文字、親子代々受け継がれた歴史が垣間見られますね。
こうして私たちのところにやってくるバラ。花の命は短いけれど、最後まで愛でることで生産者さんへ感謝の気持ちが伝わるのではないでしょうか。
■渋谷さんに質問!
☆渋谷さんのおすすめの品種は?
赤ばら大輪の「アマダ」、芳香カップ咲の「ユカカップ」、白巨体輪「マルシア」。
世の中の動向をみつつ、品種によって小売向けとブライダル向けとバランスをみて生産しています。
【アマダ】光沢のある濃赤が魅力的な大輪の赤薔薇
【カフェラテ】苦みと甘みが溶け込む花色まろやかなバラ
☆花農家としての醍醐味は?
生き物相手の仕事の為、決まった休日はありませんが、逆に自分次第で時間を作ることができます。
親戚や知人友人に会いに行く際、我が家のバラの花束を手土産に持っていけるのは最高の贅沢ですね。
☆渋谷さんから、みなさまに向けてメッセージ
「国産の昔ながらの土から栽培したバラを、ぜひ、贈り物や日常の食卓テーブルに飾って、お楽しみいただけましたら幸いです。」
*****渋谷ばら園*****
創業から48年、2代目の渋谷真一さん。
8棟、800坪のハウスでバラの生産を家族で営む。
スタンダードタイプ約10品種を生産。
主に大田花き(国内最大規模の花市場)に出荷されている。