3月にご紹介する花は、ひらひらと蝶のように舞い、甘い香りとともにいち早く春を運んでくれる「スイートピー」です
春らしいパステル調の花色やマメ科ならではの上へ上へと伸びる習性があるその様は、卒業、入学、歓送迎会が多いこの時期に、明るい未来に向けて贈る花としても最適☆
普段はサブ花として控え目な立場のスイートーピーを、ぜひメイン花としてお楽しみください。
【基本情報】
『スイートピー』(和名:麝香連理草)
・マメ科レンリソウ属
・原産地/イタリアのシシリー島
・日本の主な生産地/宮崎県、大分県、愛知県渥美
●花名の由来
「Sweet pea=甘いエンドウ豆」その名の通り、この花がほのかな甘い香りを放つことに由来します。
そのため和名では、エンドウに似て香りもよいことから、麝香豌豆(ジャコウエンドウ)や香豌豆(カオリエンドウ)と呼ばれています。
日本での切花栽培は大正時代に神奈川県に始まって以来、全国各地に広がり品種改良が進められてきました。
特に豊富な色のバリエーションと甘い香りを楽しめるのがこの花の魅力といえるでしょう。
●花言葉
スイートピーの花の羽ばたく姿が由来と言われる花言葉が多く、「門出」「別離」「優しい思い出」「ほのかな喜び」など。
そして、とてもカラフルなスイトピーは、花色によっても異なります。
・ピンク色…「繊細」「優美」「恋の楽しみ」
・白色…「ほのかな喜び」
・紫色…「永遠の喜び」
・黄色…「分別」「判断力」
スイトピーが開花する3月~4月は卒業や入学など、別れと出会いの季節になります。花言葉からも、新たな門出を明るく送りだすのにぴったりの花ですね。
●スイートピーの香りの魅力
香りのある花が少なくなってきた中、スイートピーは変わることなく楽しませてくれます。この魅力の一つ、「香り」について少々お話いたしましょう。
現在、切り花として出回るスイートピーは原種「ラティルス・オドラタス」の園芸品種だと言われています。
原種のスイートピーは、ヒヤシンス・スミレ様の香りに、ジャスミンなどにも見られる濃厚な匂いをともなう力強い芳香があり、その香りのベースは現在の流通品種にも受け継がれています。
スイートピーは、その香りの特徴や成分の配合バランスによって3タイプに分類されます。お花屋さんで数本購入し、香りの違いを楽しんでみるのも良いですね。
①スイートピーの香り
バラ、ヒヤシンス様の香りに柑橘類やブドウに似たフルーティな特徴を持ち、強香で、主に原種系のスイートピー(現在の切花流通品種では「スイートスノー」、「スイートピンク」のみ)に見られる香りです。
②フルーティの香り
バラ、ブドウに似た甘くフルーティな香りで、現在流通しているの園芸品種の中でも、より原種に近い品種に見られる香りです。(例えば「アーリーラベンダー」)
③グリーンの香り
バラ、柑橘類、フレッシュグリーンの爽やかな香りで、品種改良によって香りを持たなくなった近年の品種に見られ、微香であることが多く8割方はこちらに属します。(例えば「ステラ」)
●スイートピーの香りの活用法
ヨーロッパではスイートピーをベッドルームなどに飾り、ルームフレグランスとして香りを楽しんだようです。枕元の甘い香りに、リラックス効果も期待出来るのではないでしょうか。またスイートピーの香りは、チューリップやフリージア、リューココリーネなど春の芳香花とも良く調和するため、組み合わせて香りのマリアージュを楽しむのも素敵ですね。
【お手入れ方法】
【お手入れ方法】
・スイートピーの茎は細くて柔らかいので、強く握りすぎないように持ち、茎はまっすぐに切ります。
・下から順に開花してくため、花びらが透けて見えるものは弱り始めです、摘んで取り除きましょう。
・吸水性があまりなく茎が悪くなりやすいので、花瓶の水は、半分位を目安にします。
・届いたばかりや買って間もない花が弱って見えたら、水分が足りず水落している可能性があります。
その様な時は、生ける前にひと手間かけて湯上げ(水揚げ方法のひとつ)をおすすめします。
詳しくは、MAGAZINEの「お花を長く楽しむための基本の水揚げ方法」をご覧ください。
【スイートピーの飾り方】 より美しく飾りたい。そのコツ
■シンプルに生ける
スイートピーはふりふりの花びらをしていて、色々な方向に花がついているので、実は花瓶にいけるのにとても簡単なお花です。まずは正面や向きなどあまり気にせず、お好みの器に挿してみるのもいいですね。
始めは、流れるような自然なラインを生かして、長いまま生けるのがおすすめです。数本だとスタイリッシュに(写真左)、贅沢に10本~20本束でわさっと生けるればそれだけで豪華な雰囲気で空間を彩ってくれます(写真中2枚)。
下の花が弱ってきたら取り除き、短めにしてグラスなどに飾ると、ちょっとした卓上ブーケにもなり食卓を彩ることもできます(写真右)。
■その他の春のお花たちやグリーンとアレンジして華やかに
春の芽吹きをかんじるゼンマイをアクセントに入れたり、春のお花チューリップなどと合わせると、躍動感あるブーケに仕上がります。(写真左)
スイートピー、ムスカリ、フリルパンジー、ビバーナム、羽衣ジャスミンなど春の草花をグルーピングして低めの器に盛り付けた春の宴のようなテーブルデコレーション。春花の贅沢なごちそうの出来上がりです☆ (写真右)
こうしてみると、ひらひらと舞う蝶の様な花姿、ふわっと包みこまれる甘くて優しい香り…なんだかロマンチックなお花ですね。
朝起きて花瓶の水を変える時に、飾っているスイトピーの傍を通る時に・・・
その姿と香りに癒され、感じるでしょう。すぐそこに春は来ているんだなと。