太陽の光と恵みの雨で、植物は勢いよく成長し生い茂る庭や山を見ると、嗚呼、日本の夏が来た!と思うものです。
しかし切花にとっては過酷な季節。お花の種類により暑さで人間と同様に熱中症にかかり水分不足ですぐ枯れてしまったり、日持ちが悪くてなってしまうため、これを理由に夏場は花を飾るのをお休みしてしまう方をも多いかもしれません。
でも、せっかく続けてきた花のある暮らしや、これから始めたいと思っていた季節が偶然夏だったからと諦めてしまうのはもったいないことです。1輪でもそばに飾ってみましょう。
前回のお話でも紹介いたしましたが、暑い夏だからこそ楽しめる花や飾り方があります。
そこで今回は、目的別に暑い季節でも花のある暮らしを楽しめるアイデアやコツをいくつかご紹介しましょう。
1.花の日持ちを優先したい
まずはなんといっても花選びが肝心です。暑さに強い花を知りましょう。分かりやすいのは、南の国育ちのトロピカルな植物。
過酷な暑さにも負けずに育つ花たちですから、切花にしても比較的強いものが存在します。
おすすめは、ラン類やアンスリウム、クルクマ、肉厚の葉物など。(写真上・上段左から:デンファレ、モカラ、アンスリウム、クルクマ、写真上・下段左からモンステラ、ヤマシダ)
また、日本には四季がはっきりしてますので、それぞれに適した花が存在します。旬な野菜を食べる感覚と同様に、旬な花に目を向けてみましょう。ヒマワリやリシアンサス、ユリ、最近人気のエキナセアなどいかがでしょうか。(写真上・下段中央右から:ヒマワリ、エキナセア)
2.暑い夏の日々、心に癒しや清涼感を求めるならば
涼しげな色味の花、ここでは白やグリーン、風に揺られてシャラシャラと涼しげな音が聞こえそうな草花を選んでみましょう。
おすすめは、グリーンスケール、スモークグラス、ナズナ、アジアンタム、穂物類など。
花だけではありません。器を透明なガラスにしたり、寒色系にするだけで爽やかな雰囲気が漂ってきますよ。
3.手軽に花を飾りたいときは
●一度に飾る花の品種や本数を減らして、シンプルに飾ってみましょう。
色々な組み合わせを楽しみたいところですが、様々な種類が入っていると、持つ花と痛みやすい花に差がつき、痛んだ花の雑菌が水を汚し結果全体をダメにしてしまいます。ミックスするならば、トロピカルな花同士は比較的相性がよいです。(写真上右)
空き瓶などに「一花を愛でる」ように挿すだけでも暮らしを彩ってくれることでしょう。(写真上左)
●また発想を変えて、観葉植物でもよく見かける厚手の葉っぱをひと工夫して花瓶の模様代わりにしてみるのもおすすめです。
ここでは、モンステラを使ってみました。器は筒形のストンとした形がベスト。モンステラをくるんと丸めて、花瓶の内側に沿わせます。この時茎の切り口が水に浸かるような向きで入れてください。(写真中左)
●その他、モンステラの葉の間から花を挿したり、存在感ある花(ここではパイナップルリリー)は奥に挿して奥行きをだし、葉っぱ模様のオブジェ風花瓶のできあがりです。(写真中右)
●もっと華やぎたいシーンでは、同じ品種の花をカラフルにまとめて、葉っぱでアクセントをつけるくらいが簡単でおすすめです。こぼれた花は、花瓶の下に散らして飾っみましょう。ラン類でした水なしでもその日中は楽しめます(写真右)
4.夏に花を長持ちさせるポイント
前回でもお話させていただきましたが、花をできるだけ長持ちさせるには、飾る環境やお手入れの頻度に左右されます。
ちょっとしたことですが、下記ポイントを取り入れてみてください。以前よりも切花の生命力を感じられるかもしれません☆
■日光やエアコンの風に当たらない日陰に置く。
■できれば、朝晩とマメにお水換えをする。茎の切り口の切り戻しも忘れずに。
■乾燥を防ぐために、霧吹きで水分補給してあげるのもおすすめです。
■水の中に少量の氷を入れる(蘭は温度が低すぎると萎れてしまう為、数個の氷で水が暖かくならない程度で大丈夫です)
■花のサイズにもよりますが、外出中などエアコンを切っている場合は、思い切って花瓶ごと冷蔵庫に入れて保管するのもひとつの方法です。ただ、何度も繰り返していると、温度格差で花が弱ってしまう場合もありますので気を付けてください。
■水の中に一滴程の漂白剤(キッチン用で構いません)を入れる。水の中に雑菌を増やさないことによって花持ちが良くなります。この方法は効果抜群です!
注)ただし、入れる際には洋服などに飛び散らない様に、十分に気を付けてくださいね。
一年中暑い国では、花との付き合い方も上手!良いお手本になります。
多くのホテルでは、華やかな水中花のウエルカムフラワーで歓迎してくれます。たまに斬新な装飾に思わず微笑んでしまうときも…。
だれもがフラワーアーティストなれるのですね☆枯れてしまったら、また新鮮な花を摘んで飾れば良いだけ!そんなカジュアルな暮らしが垣間見れます。
暑いからと言って諦めず、暑い国の花を参考に種類を変えてみたり、飾る量を調整したり、保管方法を工夫することで、夏場も楽しく快適に花のある暮らしを送りましょう。