8月に入り、流通する花の種類が少なくなる季節の中、生き生きとしたお花を咲かせてくれる夏の花たち。前月からお話している暑い夏だからこそ楽しめる花や飾り方はまだまだあります。今回も引き続きお話ししていきましょう。
ご紹介する花は「クルクマ」です。花姿がハスの花に似ていることから、お盆時期にも人気の花。欧米では、Siam Tulip 「シャム(タイの旧名)のチューリップ」やSummer Tulip「夏のチューリップ」とも呼ばれています。少し葉や形がチューリップに似ていますよね。
この時期ブーケやアレンジメントに活躍するトロピカルな雰囲気の植物です。南国系の花は原色やカラフルな色味が多いですが、クルクマは色は控えめ、茎がスッと伸びてクールな佇まいが特徴的です。暑いシーズンしか出回らない希少な花を、シンプルに飾ってみませんか。
【基本情報】
『クルクマ』
分類: ショウガ科ウコン属
学名: Curcuma alismatifolia
和名: クルクマ・アリスマティフォリア
別名: クルクマ・シャローム、鬱金(ウコン)
英名: Siam tulip
原産地:熱帯アジア(タイ北部・ラオス・カンボジア等)
日本の主な生産地:静岡県、福岡県、鹿児島県
花色:白、ピンク濃淡、赤、グリーンなど
〇花名の由来
属名(ウコン属)の学名「Curcuma(クルクマ)」は、アラビア語の「kurkum(黄色)」が語源となり、根茎が黄色い染料の原料として使われたことに由来するといわれます。漢方薬や調味料としても有名な『ウコン』
実はクルクマはウコンと同じ仲間なのです。
〇花言葉
「あなたの姿に酔いしれる」
上品なハスにも似た幻想的なシルエットのクルクマ。その花姿にちなむといわれます。
「忍耐」「乙女の香り」
【クルクマの花の構造】
上に伸びるように折り重なり、まるでトーチのようにも見える部分が花のように考えられますが、実は違います。
色づいているのは葉が変化した苞葉(つぼみを包んでいた葉)です。本当のお花は・・・・この包葉のなかに小さな小さな薄紫色の花を咲かせます。ビオラのような可愛いらしい花ですよね。
これこそがクルクマの花にあたるものです。
とても小さくて目立たない上に花期も短いので、花が咲いていることに気付かない人も多いでしょう。
ぜひ、見つけてみてください。
【切花の種類】
切花として流通しているクルクマは、花の部分(苞)が7~10cmくらいあるものから、3~5cm程度のミニサイズがあります。色もグリーンもあれば、白やピンク濃淡と豊富、さらには、グラデーションや縞模様があったりと、エキゾチックで魅力的!花名もタイ語に絡めたユニークなものがありますよ。
〇主な品種
クルクマ・シャロームは、花が大きく花びらの先が尖っているので存在感があります。
クルクマ・ペティオラータは、シャロームに比べて花びらが肉厚で、花びらの先端は丸みを帯びています。
クルクマ・ロンガは、カレーに使用することで有名なターメリック(ウコン)のことです。
〇比較的購入しやすい品種
写真上左から
バンコクスプリーム(ピンク)、シャロームホワイト(白)、エメラルドチョコゼブラ(グリーン)など
【お手入れ方法】
できれば毎日霧吹きで水分を与え保湿しましょう。クルクマは熱帯アジアの多湿な地域の植物になるため、花に湿気を持たせることが効果的です。また、表面の乾燥を防ぐという意味もあります。
切り口は斜めにカットしましょう。水替えと同時に切り口を新しくする切り戻しを行うことで、より長持ちを期待できます。
切り花を生ける際の基本となりますが、こまめに水替えを行いましょう。水に浸かっている茎の部分は洗い流し、花瓶は食器用洗剤で洗って清潔な状態で保ちます。特に夏場は水が腐りやすくなるので、毎日の水替えをおすすめします。難しい場合は切花延命剤や漂白剤を1滴使うのも効果的です。
【遊び心のある飾り方】
真直ぐに伸びた茎の先に、何層にも重なった特徴あるフォルムをあらゆる角度から楽しんでみましょう。
横からの姿も美しいので、高さを活かしてシックなスタイルはいかがでしょう。
または、花びらのような包葉がロゼット状に広がっているので真上からの眺めも美しく、花束やお花の正面の顔を活かしたアレンジにも向いています。
〇参考例(写真上左から)
・クルクマ数本を丈の長さをいかして、そのままストンと花瓶に生けて飾ります。ここはあえて他の草花をミックスせずシンプルに!唯一入れるならばポイントになる花を。今回はピンクのカライトソウに出会えたのでアクセントにたらしてみました。
・1本でもインパクトのあるグリーンのエメラルドチョコゼブラ。足元にフューシャピンクのリボンをクロスして着飾ってみました。こうした小物使いだけでも、夏の花飾りを盛り上げてくれますよ。
・ハスやスイレンをイメージして花瓶の中に表現してみました。涼を感じる簡単な組み合わせはクリアガラス+水ですね。
・自然素材のカゴバックにクルクマをしのばせて、夏っぽい雰囲気に。
クルクマはお花が少なくなる暑い時期に、艶やかなお花を咲かせます。高温多湿を好み比較的日持ちもよいので、日本の夏の気候にも合う花です。楽しみ方も多数!ぜひ今年の夏はクルクマでクールシックな雰囲気作りをしてみませんか。