秋を代表する花といえば、今月のお花でもご紹介したダリアをはじめ、コスモス、ケイトウ、秋のバラ、秋の七草など華やかなものや可憐なお花を思い浮かべるかもしれません。
実はそれとは対照的に、この時期、個性的なフォルムの花たちも旬を迎え輸入されてきます。春を迎える南半球の花、ネイティブフラワー(別名ワイルドフラワー)です。
ネイティブフラワーとは、オーストラリアや南アフリカなど、南半球が原産地の植物の総称で、過酷な環境に耐えるために進化し続けた結果、どれも見た目が独創的ですが、可愛らしさを兼ね備えているものが特徴です。そして花持ちは抜群!そのままドライフラワーにもなるので、イベントが多くなるこれからの時期、リースやスワッグの花材としても大活躍します。
もう一つ!実りの秋は花の世界でも同じ。たわわに実のついた枝物が多く出始めています。
前回ご紹介した、ハロウィンのバスケットアレンジに使用している花材もネイティブフラワーや実物たちです。続きにはなりますが、この回では、花材にスポットをあて、比較的手に入りやすいユニークな花をほんの一部ですがご紹介しましょう。
秋の陽だまりのような色合いや旬な花をお部屋のインテリアとして飾るだけでも、秋のムードが高まりますよ
【基本情報】
『ピンクッション』(ネイティブフラワー)
分類: ヤマモガシ科レウコスペルマム属
学名: Leucospermum cordifolium
和名: ピンクッション
英名: Pincushion
原産地:南アフリカ
花色:キイロ、オレンジ、アカ
〇花名の由来
花形が、裁縫で使う針山に似ていることから、この名前がつけられました。また学名の「レウコスペルマム」は、ギリシャ語で「白い種子」という意味です。開花後につける種子が白いことに由来しています。
〇花言葉
どこでも成功を、艶やかな人、共栄、陽気、降り注ぐ愛
〇特徴
非常に花もちがよく、開花すると数週間咲き続けます。また花の構成が独特で、多数の花が集まって花の形を形成しています。ピンクションのピンのような細い部分は、花びらではなく1つの花なのです。このような花の構造を「頭状花序(とうじょうかじょ)」と呼びます。
〇お手入れの方法
・葉は先に茶色くなりやすく、水に浸かる下葉は取除きます。
・茎の切り口をハサミで十字に割り、水を吸いやすくしてから生けましょう。
【基本情報】
『ワックスフラワー』(ネイティブフラワー)
分類: フトモモ科カメラシウム属
学名: Chamelaucium uncinatum
和名: ワックスフラワー
英名: waxflower
原産地:オーストラリア
花色:白、赤、ピンク、薄紫 *最近は「染め」と呼ばれる、色を吸わせて着色させたものも流行っています。
〇花名の由来
花がワックスをかけたような艶があり、蝋の質感があることからワックスフラワーと呼ばれています。
〇花言葉
繊細、まだ気づかれない長所、気まぐれ、かわいらしさ
〇特徴
粒々のつぼみがはじけて梅の花に似た小さな花が無数に開花します。光沢がありロウがかかっているようなつやつやとした花びらが魅力的。また、香りも楽しめ、葉をちぎったり、茎の部分を折ったりすると、柑橘系の爽やかな香りが広がりますよ。
比較的個性的で大輪の花が多いネイティブフラワーの中では、小花で扱いやすく、切り分けてちょっと飾るのにも便利です。
〇お手入れの方法
・花はかわいらしいですが、枝ものなので、茎の切り口に割りを入れて水あげをします。細い枝は斜めにカットするだけでもかまいません。
・花持ちの良い花材ですが、花より先に葉が散りやすいので、生ける際にはある程度の葉を落としてから生けましょう。
【基本情報】
『シンフォリカルポス』
分類: スイカズラ科シンフォリカルポス属
学名: Symphoricarpos
和名: 雪晃木(セッコウボク)、シラタマヒョウタンボク
英名: Snowberry
原産地:北アメリカ
花色:白、ピンク、ワインレッド
〇花名の由来
シンフォリカルポスの英名は「Snowberry」、和名は「雪晃木(セッコウボク)」と呼ばれ、どちらもつやのある白い実を雪に例えて名前がついたようです。
〇花言葉
いつまでも献身的に
〇特徴
秋から冬にかけて、真珠くらいの大きさの白やピンクのかわいい実をつけるスイカズラ科の落葉低木。初夏にすずらんの形に似た小さな花が開花した後、秋に実をつけます。花より実の状態の方が人目を引くため、実の状態が切り花として流通しています。
そのかわいらしい花姿から、ブライダルブーケにも人気です。
〇お手入れ方法
枝ものなので、茎の切り口に切れ込みを入れると水の吸い上げがよくなります。どちらかと言うと実より葉が先に傷んできます。傷んだ葉や実をその都度取り去ると、長く美しさを保ちます。
【基本情報】
『ノバラの実』
分類: バラ科バラ属
学名: Rose multiflora
和名: 野茨(ノイバラ)
英名: Japanese rose
原産地:日本、朝鮮半島、中国
花色:緑からオレンジ、アカに
〇花名の由来
和名にもなっている「ノイバラ(野茨)」の名前は、「野のトゲ」が由来です。トゲのことを別名「茨」といい、茎にトゲを持ち野に生えることから名づけられました。
別名ノバラとも呼び親しまれ、日本のバラの代表的な原種です。
〇花言葉
上品な美しさ、純朴な愛、孤独、才能
〇特徴
小さくて可憐な白い花を咲かせる野生のバラです。
切花では花の流通はなく、赤い実をつけた枝物がこの時期人気です。
ノバラの枝をポンと花瓶に挿すだけでも秋のムードに。小分けにしたノバラの実を使ってリース作りなどもおすすめです。野性味にあふれたおしゃれなインテリアに。デコレーションのアイデアを考えるだけでも楽しい実物です。
〇お手入れ方法
・茎の切り口をハサミで十字に割り、水を吸いやすくしてから生けましょう。
【楽しみ方】
〇ピンクッションは、1本でも十分な存在感があります。合わせる花の種類を絞って、引き立ててくれる小花や実・葉物を選びましょう。もちろん、ネイティブフラワーとの相性は抜群です!
蔓性の葉物や、しなやかな枝物などを加えて秋の息吹を吹き込んでみましょう。(写真左)
〇花の頭が重いので、高さを出してアレンジするよりは、低めにして安定感をつくります。(写真左から2番目)
〇花瓶は、下に重心があるものを選びます。その時のシーズンイベントカラーに合せたりとコーディネートを楽しんでみてください。
今回はハロウィンを意識して、ピンクションがオレンジなので、花瓶は黒にしてみました。(写真右から2番目)
〇ネイティブフラワーは、殆どドライフラワーにもなるので、スワッグ(壁飾り)にしてしばらく楽しむこともできます。(写真右)
お花屋さんで、秋ごろに店頭に出回ることが増えるちょっとユニークな花たちをご紹介しました。
見かけたらぜひ手に取り、おうちでも楽しんでみてはいかがでしょう。