早いもので、もう11月。日本の暦七十二候では「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」といわれ、楓や蔦の葉が色づく頃を言い表しています。わかりやすくて、とても美しい名前ですね。
葉が色づくことをひとくちに「紅葉」と呼びますが、正確には、葉が赤く色づくことを「紅葉(こうよう)」、黄色に色づくことを「黄葉(こうよう、おうよう)」、褐色に色づくことは「褐葉(かつよう)」と呼ぶそうです。実は、こんなふうに分けられているんですね。
さて切花でも、気温が下がるにつれて色合いが深みをましてくる花があります。一年中見る者を魅了してやまない花の女王🌹「バラ」です。
そこで今月のお花は「秋のバラ」をご紹介します。
この時期は花蕾がゆっくり生長するため、より色深く、引き締まった花形になり、香りも豊かに。本来の花の美しさを堪能することができるのです。
【基本情報】
『バラ』
分類: バラ科バラ属
学名: Rosa
和名: 薔薇
英名: Rose
原産地:北半球の温帯(主にヨーロッパから日本)
日本の主な生産地:愛知県、静岡県
花色:花色はとにかく豊富でほぼすべての色があるともいわれています。
〇花名の由来
和名の「薔薇」は、とげのある木を表す「いばら(茨)」が転訛した(または略された)といわれます。
学名「Rosa(ローザ)」は、古代ギリシア語でバラを意味する「rhodon(ロドン)」やケルト語で赤色を意味する「rhodd(ロッド)」が語源であるといわれます。
〇バラ誕生の伝説とは
愛と美を司るギリシア神話の女神アプロディーテがキプロス島の海から生まれたとき、大地が「自分も神々と同じように美しいものを創造することができる」といって、バラの花を生み出したといわれます。
その様子は、ルネサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリ(1445~1510)の名画『ヴィーナスの誕生』に描かれています。
そのバラは、白バラの祖「ロサ・アルバ」にもっとも近い純白のオールドローズ「アルバ・セミプレナ」です。
〇世界中から愛されるバラは、国花も担っています。
イラク(赤いバラ)、オマーン(赤いバラ)、サウジアラビア、アルジェリア、モロッコ、イングランド、ブルガリア、ルクセンブルク、アメリカなどです。
〇花言葉は色によって様々
フラワーギフトで贈る時など、バラにメッセージを託すのもよいですね。
全般 愛・美
赤:あなたを愛しています、愛情、情熱、美
白:無邪気、清純、純潔、相思相愛、尊敬
ピンク:上品、しとやか、温かい心、満足
黄:献身、あなたに恋しています、嫉妬、友情
オレンジ:魅惑、信頼、絆
紫:誇り、上品、尊敬
青:夢が叶う、神の祝福
緑:穏やか
トゲ:不幸中の幸い
【バラの咲き方】
モダンローズの咲き方は、花形にもさまざまなバリエーションがあります。ここでは、お花屋さんでも見かけそうな花の形をご紹介します。お好みの形はどれでしょうか?
「高芯咲き」通称剣咲ともいわれ、つぼみから開花していくときに、花の中心部分が高くなる咲き方です。バラをイメージする時、真っ先に浮かんでくる形ではないでしょうか。(写真左「スィートアヴァランシェ」)
「カップ咲き」カップ状に丸みを帯びたフォルムの咲き方です。茎がしなる品種が多く、ナチュラルな雰囲気を出したい時に特におすすめです。ブライダルにも人気の形です。(写真左から2番目「イブピアッチェ」)
切花のバラは、香りのするものが少なくはなりましたが、このイブピアッチェは香りのあるバラで比較的手に入りやすく人気のバラです。
「ロゼット咲き」ロゼットとは、開いた花の中心に、小さな花弁が放射状に重なり合うもので、様々な形があります。こちらもガーデン風なイメージにぴったりです。(写真中央「ミルクオレンジ」)
「フリル咲き」波打つようなフリルが入る花びらが特徴的。可愛さとゴージャスなイメージを兼ね備えています。(写真右から2番目「オール4キュート」)
「ポンポン咲き」花芯から細い花弁が文字通りポンポンとした動きがあり、ガーデンローズに多く見られます。動きを出したり、ナチュラルなイメージには欠かせませんね。(写真右「グリーンアイス」「オリエンタルエクレール」)
【バラを長く楽しむために】
・花瓶に生ける前に、下準備をしましょう。
1.余分な葉っぱは取り除きます
2.茎の切り口はなるべく斜めに切り、時間があれば一度水揚げをすることをおすすめします。バラを新聞紙でくるみ、深水に約1~2時間つけておきます。
☆詳しくはMAGAZINEの「もっとバラを楽しむために知っておきたいこと」をご覧ください。
・香りのあるバラは、香りを発散することによりエネルギー消耗するため、日持ちが劣ります。持ちのいいバラや草花と一緒に飾ってみましょう。始めは香りを、それから持つバラや草花は長く飾って楽しむことができますよね。
・できれば朝晩2回の水換えをして、常に花瓶の水を新鮮な状態に保ちましょう。
・花は乾燥が大敵です。直射日光や暖房の効いた部屋は避けて、なるべく涼しいところに飾りましょう。
【赴くままに飾りましょう】
特に決まりはありません☆好みのバラと花瓶が準備できたら、自由に楽しんでみましょう。
・バラ数本と、季節のグリーンのみのお手軽アレンジ。紅葉ヒペリカムを使って季節感をだしました。この時、スプレーバラ(枝分かれして数輪ついてるタイプ)があると、ボリュームが出たり、花留めの役割もするので便利です。(写真左)
・同系色のバラを贅沢に束のままわさっと生けます。バラの頭を揃えて、同じ方向に生けるとモダンに仕上がります。(写真左から2番目)
・スプレーバラと草花のアレンジ。ガーデンローズの景色をそのままお部屋に取り込んで季節の息吹を感じましょう。(写真右から2番目)
・バラの色、グリーンの色を変えるだけでも季節の変化を表現できます。シルバーグリーン(ユーカリ)は秋から冬のイメージにぴったりな優れものです。(写真右)
ローズガーデンと異なり、切り花のバラは、様々な用途に対応できるように香りのないものが多くありますが、バラ本来の魅力は香りもその一つ。
甘い紅茶のような香りやスパイシーな香りなどバラの香りに酔いしれる秋の夜長☆なんて素敵ですよね。
このシーズンにたくさんのバラの中から、お好みの一輪を探してみませんか。(写真はパリのあるお店のショーウィンドウ)
kumpuの「産直のお花」では素敵なバラを作っていらっしゃる産地さんが参加されています。ぜひ、お立ち寄りください。