年が明け、暦の上では大寒に入りました。春がひときわ待ち遠しく感じられますね。今年も季節と共に花を愛でるお話をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年のMagazineでは「花」そのものにフォーカスし、その魅力を知っていただけるよう、月前半の回では旬の切り花一種を紹介してまいりました。今年は、もっともっと切り花を知っていただくために、コンスタントにその月の旬なお花たちの話をしてくいく予定です。
お花と向き合い”ありのままの姿”を知ることが、花とのつきあい=花のある暮らしに繋がることを願って☆
早速ですが、今月は球根花シリーズです。球根植物とは、茎や根の一部が変化した部分に栄養を蓄えて、毎年同じ季節に繰り返し花を咲かせる多年草のこと。
1月は一段と寒さが厳しくなる時期ですが、花屋さんの店頭では春を感じるお花が彩り始めています。その多くは球根花でもあるのです。
春に咲くガーデニングの花たちが、切り花の世界では一足早く冬から春先にかけてが見頃になります。近年では、球根がついた状態で購入できる花もあり、そのまま飾るスタイルも人気のようです。花をナチュラルに楽しむ…あたたかな春がそっとやってくるかもしれませんね。
トップバッターは世界中で親しまれている花「チューリップ」です。
【基本情報】
『チューリップ』
分類: ユリ科・チューリップ属
学名: Tulipa gesneriana
和名: 鬱金香
英名: tulip
原産地: トルコ
日本の主な生産地: 富山県・新潟県
花色:花色はとにかく豊富で青を除くほぼすべての色があるともいわれています。
●花名の由来
語源は、原産地のトルコ語でターバンを意味する「Tulipan(チュルバン)」からきています。花弁が重なり合うように咲く姿が ターバンに似ていますよね。
●花言葉:「思いやり」「名声」「愛の告白」
チューリップの花言葉の由来には、あるオランダの物語があります。
三人の騎士が美しい娘に求愛し、彼らはそれぞれ自分を選べば王冠(名声)、剣(強さ)、財産(資産)を彼女に与えようと言いました。一人を選べば残りの二人を不幸にしてしまうと思った娘は、女神フローラに頼みチューリップに姿を変えました。三人の騎士はそのチューリップを大切に育てたということです。
この物語から、チューリップの花は王冠を、葉は剣を、そして球根は黄金(財産)を表しているといわれています。
スッと伸びた愛らしい姿や花言葉からも、この時期、特別なシーンの贈り物にもおすすめですね。
【お手入れ方法】
チューリップは、なにかの生き物のように、伸びたり動いたり花びらが開閉したりと変化します。葉は肉厚で水分を多く含み蒸発しやすく、吸水力が強いお花であることを念頭にお手入れしましょう。
・水に浸かる余分な葉は、取り除きましょう。(写真右)
・茎を切るときは、切口を斜めに切ります。
・花瓶の水の量は、浅水(3~5cm)にし多くても半分程度にしましょう。茎が水に浸かりすぎると痛む原因にもなります。こまめに水替えをしましょう。
・光と温度に敏感に反応する性質があるので、太陽の当たる窓際や暖房のきいた部屋に置くと一気に開きます。長く楽しみたい場合は、気温が低めのところをおすすめします。
【楽しみ方】
a:贅沢に束ごとたっぷりと生ける。
表情豊かなチューリップたちを観察してみましょう。
b : 一輪と向き合う。
ラインを生かして、器にそって寝かせていけてみます。
c:数本と春の花をそえて。
スイートピーなど相性がよいお花とリズミカルに挿していきます。
d:器選びで世界観を作る。
器の形、素材などにこだわり、インテリアの一部として飾ってみましょう。
チューリップは生けてからも自由に動いたり伸びたりするので、バランスが崩れてきたら切り戻したり花瓶を変えたりと、少し手直ししながらお楽しみください。