球根花シリーズ、続いては「ヒヤシンス」です。
幼い頃学校で水耕栽培の勉強として育てた思い出がある方もいらっしゃるのでは。
水栽培が容易で、すらりと伸びた白い根や、透明な容器とマッチした全体の美しさはヒアシンスならではのものです。オトナになって、改めてその魅力を知り、インテリアの一部として飾れる人気なお花になりつつあります。
そして甘く爽やな香りも魅力のひとつ。お部屋にお花の香りがほんのりとするだけで和みますよね。ヒヤシンスは、小さな花一つ一つにしっかりと芳香があるので、取れてしまった花も拾って飾っておくと、また香りを楽しめます。
いい香りはいい気を運んできてくれるので、人が集まるリビングや玄関やトイレなどに飾ってみてはいかがでしょう☆
【基本情報】
『ヒヤシンス』
分類: キジカクシ科・ヒヤシンス属
学名: Hyacinthus orientalis
和名: 夜香蘭、風信子、飛信子
英名: Hyacinth
原産地: 地中海東部沿岸(ギリシャ、シリア、トルコなど)
日本の主な生産地:新潟県(切花)、愛知県(鉢物)
花色:白、ピンク、赤、青、紫、黄
●花名の由来
属名の学名「Hyacinthus(ヒヤシンサス)」は、ギリシア神話の美少年ヒュアキントス(Hyakinthos)の名前に由来します。
●花言葉
全般:スポーツ・ゲーム、悲しみを超えた愛紫:悲しみ
青:変わらぬ愛
白:控えめな愛らしさ
ピンク:淑やかな可愛らしさ
赤:嫉妬
黄色:あなたとなら幸せ
♠花名や花言葉にまつわるギリシア神話を紐解いてみましょう。
美少年ヒュアキントスは、太陽神アポロンと西風の神ゼピュロスに愛されていました。ヒュアキントスは移り気な西風の神ゼピュロスよりも太陽神アポロンに心ひかれていました。
ある日、ヒュアキントスとアポロンが円盤投げをしていると、その親しげな様子を見たゼピュロスが嫉妬して意地悪な風を起こします。すると円盤の軌道が変わり、ヒュアキントスの額に円盤があたってしまいます。そして大量の血を流して死んでしまったヒュアキントスのその血から紫のヒヤシンスの花が咲いたといわれます。
太陽神アポロンがこの花を見て「アイ、アイ(悲し、悲し)」と嘆いたことから、ヒヤシンスは悲しみのシンボルといわれるようになりました。
※ 血がこぼれて花になったという言い伝えには、他にアネモネの美少年アドニス(ギリシア神話)の伝説があります。
ギリシア神話は悲劇が多いですが、花はいつも心を救ってくれる存在になっているような気がしてなりません。
【お手入れ方法】
<切り花の場合>
・ヒヤシンスは球根から何枚もの葉が重なり合って生えています。いきなり茎をたくさん切ると、葉っぱが全部取れてしまいます。最初は茎を数ミリカットして生けて、葉っぱ付きのヒヤシンスを楽しみましょう。白い部分を切らないほうが日持ちもよくなります。
・花瓶の水は、チューリップ同様に浅めにします。
・茎の切り口はぬるっとしているのと、切り口付近に泥がついていることがあるので、水が汚れやすいです。生ける前に、水洗いをして、こまめに水替えをしましょう。
<球根付きの水栽培の場合>
・花瓶の水は、根が浸かる位の量で構いません。
球根まで浸かってしまうと、腐りやすくなりますので気を付けましょう。
・暖かい室内で飾ると、ぐ~んと茎が伸びて開花し、花の重みで垂れてしまう場合があります。その時は球根から切って、低めの器に飾り直す方がおすすめです。
☆観察記録
左写真A…鉢物から土を落とした直後の芽出し球根
写真B…仕立ててから約2週間後の成長した様子。ピンクは1球から2本咲きました。
(鉢物から水栽培用にする仕立て方は、インスタグラムでご紹介します)
【楽しみ方】
・ヒヤシンスは水分たっぷりで重量がある花です。そして伸びます!花瓶の丈が低すぎると、花の重みに茎が耐えられず折れてしまうので、花瓶選びもポイントのひとつです。
少しずつ茎を切り戻して、長さを調整していくと長く楽しむことができます。
①花が全部開いてきたら、短くして花瓶のフチに花を支えてもらう要領で生けると、柔らかい茎が折れるのを防ぐことができます。
その他に、季節の草花と一緒に生けることで、支え合い折れにくくなります。
②こぼれ落ちた花たちは、こうしてお皿に飾り香りを楽しむのもいいですね。
③芽出し球根の中でもメジャーな「ムスカリ」。パープルのやさしい色合いは、ヒヤシンスとも相性がよいので、ストンとした器に入れるだけで春のオブジェに仕上がります。
④土栽培のままお部屋に取り込むこともできます。ちょっとおしゃれなグラスに植え替えたり、鉢の回りをモスなどで加工するだけで、インテリアの一部として素敵に飾ることができますよ。
⑤鉢カバーを土っぽい自然な素材に植え替えると、お部屋の中でも小さなガーデニングコーナーに様変わり。
水栽培、土栽培、生花と、いろいろな形で飾ることができるヒヤシンス。
今年はぜひ手に取り、好きなスタイルで楽しんでみてはいかがでしょう。