春の風物詩として親しまれている「桃の節句」から始まる3月。桃の花や実を飾る風習が生まれた由来は平安時代ころ。
桃の花が神聖なものとして崇められ、女性の美しさや健康の象徴となり、女の子の健やかな成長を願う意味が込められています。
このように、季節の移ろいのなかで、折々の花木(かぼく)を愛でる文化が私たちには自然と身に付いています。
「花木の文化は日本の心」といっても過言ではありません。
花木とは…見て楽しむことのできる美しい花を咲かせる樹木のことを指します。花が綺麗で庭や公園、お寺や神社などに植栽されている樹木のことを想像してもいいですね。
今回は、いつもとは異なった視点で、春を告げる代表的な花木の花をご紹介しましょう。
これから梅、桃、桜、ハナミズキとバトンを渡していく花たちの共演を観賞できる素敵な季節の始まりです☆
【花木の特徴】
植物には木と草、木本(もくほん)と草本(そうほん)があります。
木本は、堅い幹の形成層を作りながら年ごとに太くなっていく植物。
草本は、茎は一定以上太くならず、1年もしくは多年草でも寿命が数年ほどの植物。植え替え可能なので、咲く時期を調整することができます。私たちが、普段花を生けたりする「生花」や「草花」にあたります。
花木の魅力とは…
土に根を張り、基本的に同じ時期に自然に花を咲かせて、時の移ろいを知らせてくれます。樹全体が花でおおわれ、周りの風景とともに全体で大きくとらえて観賞できること、記憶に残る香りが多く、その香りからも季節を感じられるものが多いことです。
【春を告げる花木】
バラ科:ウメ、モモ、サクラ、ボケ、ヤマブキ
モクセイ科:レンギョウ、オウバイ
マメ科:ギンヨウアカシア(ミモザ)
ロウバイ科:ロウバイ
ジンチョウゲ科:ジンチョウゲ
モクレン科:コブシ、モクレン
ミズキ科:ハナミズキ、ハンカチの木
❀バラ科サクラ属の花木は白・桃色・赤の5弁の花を咲かせます。八重咲もありますが、原形は5弁であることが共通しています。
葉が出るより先に花が咲くため、木が花で覆われるのが特徴です。これらの花木が春を告げる象徴である理由が納得できますね。
❀早春には黄色い花が多いと思いませんか?
ロウバイ、マンサク、サンシュ、ミモザなど・・・理由は定かではありませんが、春先にいち早く活動し、花粉を媒介する虫たちにアピールしやすくするためだと考えられているようです。
季節の移ろいのなかで、折々の花木を愛でる日本ならではの文化。
現代では、切花でも楽しめるように進化してきました。
1種だけを生けてその枝ぶりや香りを楽しんだり、季節の草花と組み合わせて飾ったり、お好みのスタイルで花木を身近に楽しんでみませんか。